青い皿

45歳の告白

あの先輩は今どうしているだろう

私が、就職氷河期の真っただ中、入った会社は、いわゆる中小企業で、社内外共に個性のきつい社長の会社だった。 

自分の適性や志望など全く関係なく配属された部署で1年が経った頃、上層部がなにを思いついたか、いまさら本社での研修が行われた。

そこで、2年程上の女性先輩がいたのだが・・・ ある作業の中で、直接教えてもらうことがあり、たまたま疑問におもったことがあり、その先輩に聞いてみた。ストレートに素朴に。

かえってきた答えは、この仕事は考えなくていい。という内容だった。確か、他部署と関連している、もしくは製品に関するような内容だったとおもうが、どういったことを質問したか、いまさら覚えていない。

当時私は、素朴な疑問に答えてもらえなかったこと、と自分の仕事の先を歩いている先人が、この仕事を考えなくてよい仕事と認識していることにショックを受けた。

その先輩が、まだあの会社にいて、同じ仕事を、この20数年を過ごしたとするなら・・・ 言葉通り、何も考えずに日々生きているなら、きっとあの会社にいるだろう。そして、新しく入ってきた社員に同じことを言うだろう。時代が変わっているのに。言い続けるだろう。自分の選択が、間違いだったと認めるわけにはいかない。

今ははっきり言える、どんな仕事も、どんな物事も、自分で考えなくてよいことなどは、ないのである。 沸いた疑問に蓋をし、考えることを放棄した人間の行きつく先は、本人が一番行きたくない先であることは、間違いない。